とうとうこの日がやって来た。
義姉がやって来る日だ。
私は夫に「義姉には会いたくない」と伝えてある。事の発端は、夫と再婚前にたまたま帰省していた義姉から叱責を受けた事だ。それが私の中でずーーっと引っ掛かっていた。
とにかく怖かったし、とても失礼な質問もあった。それでも「夫の姉なのだから」とこらえ、私は義姉が納得できるよう説明をした。
翌日、昨日の厳しい態度が嘘のように義姉は自分の無礼を私に詫びてきた。
「ふ~ん、自覚はあったんだ」と心の中で思いつつ、私は笑顔で対応した。
そして次の義姉の帰省の時、前回の事があったので内心顔も見たくない心境だったけど、挨拶だけはちゃんとしとかなきゃ、と思い、タクシーで到着したその時に、私も挨拶に伺った。
同じ敷地内でウチを通過して実家に到着するので、義姉が帰ってきたのはすぐ分かる。一旦家に入ってからだと私も家に上がらなきゃいけないかも知れないので、義姉が実家に入る前に挨拶してしまおうと、タクシーが来た時点で挨拶に伺った。
タクシーから降りた義姉に声をかけたんだけど、その時の義姉のあの顔!
「え?なんで?」という怪訝そうな表情を崩さないまま、「はぁ、」とだけ言い、義姉は実家に入って行った。
挨拶をしに行っただけなのに、何か悪いことをしたような気持ちになった。ここに到着と同時に声を掛けたのがいけなかったのか?
前回の事があるので私は緊張していたし、正直義姉の顔なんて見たくもなかったけど「挨拶くらいはちゃんとしとかなきゃ」という思いがあったので、そうしたのだけど、、、何が悪かったのか分からず、失敗した気分を味わった。
そしてその次は、義姉の体調不良で帰省は中止になった。
その時の安堵の気持ちといったら、、
これらを踏まえて、私は夫に言ったのだ。私はアナタのお姉さんには会いたくないと。今後も法事とかで帰省されると思うけど、その時は私がどこかへ出掛けて義姉に会わないようにしたい、と。
私は義姉から叱責されて嫌だった事を夫に話している。とても怖かったと。でも夫は義姉の天然面白エピソードをちょいちょい私に話していた。この際だからと、私はそのエピソードも全然面白くない、私には笑えない、と夫に伝えた。
それを聞いて夫は私の深刻さに気付いた。そして私が提案した「私が出掛けて義姉に会わないようにする作戦」を却下した。私が出掛ける必要はない、それなら義姉の帰省を断る、と言ったのだ。
事がおおごとになっちゃう。私はそう思った。
私は、私が義姉と会いたくないだけで、義姉が他の身内と会うチャンスを奪いたいワケではない、と夫に伝えたけど、結論は出ないまま今回の義姉の帰省となった。
私は「会いたくない」を理由にして、娘の所に泊まりに出掛けた。
楽しい休日は終わり、夫の元へ帰った。
隣の実家には義姉がいるはずだ。
夫はいつもと変わらず私に接してくれる。私も普段通りその日あった事を話した。そして、義姉の話題を出さないのも変なので、「お姉さんは帰ってきた?」と夫に聞いた。
すると、夫はこう言ったのだ。
「うん、帰ってきてるよ、今回の1週間の滞在が終わったら、姉はもうここへは戻って来ないから。」
夫は実行したのだ。